続・おやつカルパス

さくぶんれんしゅうちょう

映画「まともじゃないのは君も一緒」感想文

お久しぶりです。

 

素敵な映画を観たので感想を書きに来ました。

 

www.youtube.com

 

「まともじゃないのは君も一緒」

監督 前⽥弘⼆

脚本 高田亮

出演 清原果耶 成田凌 ほか

 

 

今年入ってから映画館で観た映画、微妙なのばっかりで。

Twitterで「上映中か上映予定でおすすめの映画教えて!」って言ったら匿名のメッセージで教えてもらった映画です。

つまり誰がおすすめしてくれたのかわたしは知らない。でも向こうはわたしのことを多少は(Twitterでのわたしなので本当に「多少」)知っている。

 

そんな見知らぬどこかのだれかのおすすめですが、すっごく良かったです。

 

わたし、映画館で観るなら派手なやつがいい! って今まで思っていて。

新海監督作品みたいに美麗作画のアニメとか、プロメアみたいにびりびりするような音響とか。

鬼滅やヒロアカみたいに緻密で迫力のあるアクションとか。

実写ならキングダムのあの広大なロケーションと世界観は映画館で観てよかったなー! って思ったし、ハリポタファンタビシリーズみたいな画面いっぱいに世界観が詰まってる作品も素敵。

 

でもこの「まともじゃないのは君も一緒」はそういう派手さは全然なくて、それなのに「スクリーンで観てよかった……」って思えたのは新たな発見でした。

 

まずね、役者さんたちの、言語化されない演技がとても良い。表情だったり、身体の動きだったり。

そんでカメラが切り取る一つ一つの構図が良い。

 

テレビとか配信とか、家で映画観ちゃうと、そういう「台詞に乗ってない物語」って見落としちゃうんだよな。これはわたしの集中力のなさにも要因があると思うけど。でも全部台詞で説明しちゃう、されちゃう作品が流行っているのをみると、他の人にもその傾向あると思う。

でも映画館で観ると、台詞にならずに映像で語られてることも全部集中して受け止めることができる。

なんだか久しぶりに、そういう全身で物語を受け止める体験をした気がします。

 

それに、音響も派手ではないけれど、森の中のシーンとか、自然に包まれているかんじがとてもよかった。あれも家のテレビじゃ体験できないなあ。少なくともうちにはホームシアターとかないから無理。あれも映画館ならではだったな。

 

ストーリーもとてもよかった。

「普通」とか「まとも」ってなに? って常々思っているので、その見えない概念に振り回されている登場人物たちのことが他人事だと思えなくて。

誰に決められたわけでもない「普通」にこだわる二人が滑稽で、切なくて、愛おしくなった。

 

わたしは「普通」で居たいという思いも、「普通」で居たくないという思いも両方もっているし、「普通」な部分も「普通じゃない」部分も両方持っていると思う。できれば、自分自身が「普通」であろうとなかろうと、「普通とか普通じゃないとか関係ない、わたしはわたし」の気持ちで生きていたいと思う。

でも「普通の人」ってそんなふうに考えるのかな。「普通かどうか」を考える時点で、あんまり「普通じゃない」のかもな。ときどきそうやってメビウスの輪みたいにぐるぐる考えてしまうタイプなので、「普通」を目指すふたりの物語が、とても胸に沁みました。

 

 

最近、少し(少しじゃないかも)嫌なことがあって。

現実逃避するように逃げ込んだレディースデーの映画館で、この映画に出会った。

特に感動するようなストーリーではなかったのに、観終わったらぽろぽろ涙が出てきた。

 

きっと別のときに観たらまた別の感情を抱くんだろうな。

もう一回、もう二回、何度でも噛み締めたい映画でした。